ワンポイント・ぜみなーる

水力発電の紹介

ダムの使用目的のうちの「水力発電」とはどのように行われているのでしょうか。
水力発電の原理や種類、今後についてなど2回に分けて紹介します。

(財)ダム水源地環境整備センター
調査第3部 荒木英夫

第1回:「水力発電ってなに?」(12月号/前回)
第2回:「水力発電の現状と未来」(1月号/今回)

第2回「水力発電の現状と未来」


【1.電源のベストミックス】*1

日本のエネルギー自給率はわずか4%です。この脆弱なエネルギー構造のもと、国内の電気事業は伸び続ける需要や、昼夜間における需要格差の拡大といった多くの課題に対応しながら営まれています。

かつて日本の発電は、水力発電が主流でした。 やがて豊富で安価な石油を使った火力発電へと移行しましたが、オイルショック以降、発電方式の多様化が求められ、原子力や天然ガスなど石油に変わるエネルギーの開発と導入が進められてきました。

特に、埋蔵量の60%以上が中東に偏り中東の政情に価格が大きく影響を受ける石油と違い、原子力発電の燃料となるウランは、世界各地に分布しているので、安定して輸入できます。 さらに原子力発電は発電時にCO2を排出しないという点で、地球温暖化防止に寄与するとともに、他電源と比べ発電コストが安く、発電コストに占める燃料費の割合も低いため、安定したコストで発電できます。 こうした背景の中で、将来にわたって安定かつ経済的に電気を供給するために、原子力をベースに、火力、水力など、それぞれの発電方式の特性を活かし、組み合わせる形が日本における「電源のベストミックス」という考え方です。

需要の変化に対応した電源の組み合わせ(ベストミックス) *2


【2.水力発電の役割と現状】*3

水力発電は、他の電源と比較して「非常に短い時間で発電開始(3〜5分)が可能」、「電力需要の変化に素早く対応(出力調整)が可能(流れ込み式を除く)」という特徴があります。 このような特徴を生かして、流れ込み式はベース供給力として、調整池式・貯水池式・揚水式は、ピーク供給力として、無くてはならない重要な役割を果たしています。 (ピーク供給力: 電力需要のピーク部分に対する供給を担い、電力需要の変化に応じた発電出力の調整を行う電源。一般的に、建設単価が安く、燃料単価が高い。)



【3.水力発電の利点】

地球温暖化の議論が進展する中、CO2を排出しない再生可能エネルギーである水力発電の環境適合性が、近年、特にクローズアップされてきています。

2007年度の原子力と水力による発電電力量の合計は、1990年度比で627億kWh増加しました。この電力量を火力で発電したと仮定すると、 原油換算で約1,420万klに相当し、これは日本の石油の一次エネルギー量を5.6%削減したことになります。水力発電は、今後とも「ゼロ・エミッション電源」として原子力に次いで大きな役割を担っていけることが期待されています。


発電別二酸化炭素(CO2)排出量 *4


【4.今後の水力発電】

(1)貴重な国産エネルギーと地域活性化としての役割 *5

現在では、大規模開発に適した地点の建設はほぼ完了し、21世紀は中小規模(出力は約4,500kW)の発電所の開発が中心となります。

我が国は、豊富な水資源に恵まれ、これら中小規模の開発に適した地域はまだまだ残されており、その開発は貴重な国産エネルギーの確保という面から、大きな力を発揮します。 さらに、大いなる自然の恵み"水力"の利用は発電のみに留まらず、水力発電を核に地場産業の創出・活性化に努めている市町村もあり、地域の自立的な発展に役立つ大きな可能性を秘めています。


(2)RPS制度の利用 *6

政府は、純国産の自然エネルギーを積極的に導入し、化石燃料の代替や二酸化炭素の排出量を極力少なくするという観点から、2003年4月、 RPS(Renewable Portfolio Standard)法(「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」)を制定しました。このRPS法は、電気事業者に新エネルギー等から発電される電気を一定割合以上利用することを義務づけ、 新エネルギー等の一層の普及を図るもので、対象となる新エネルギー電源は、「太陽光発電」、「風力発電」、「バイオマス(動植物に由来する有機物)発電」、「中小水力発電(ただし、水路式で出力1,000kW以下)」、 「地熱発電」となっており、このRPS制度により全国に残る中小水力発電についての開発の可能性が広がっています。


RPS制度対象・対象外の水力発電所 *7


(3)今後の動向

地球温暖化対策が求められる中、発電時に温室効果ガスを出さない水力発電を再評価する動きが出てきています。 具体的には、発電効率を高めるため電力各社は、老朽化した水車・発電機などの設備の更新や新たに河川維持用水の発電利用を行っています。 また、近年、農業用水、上水道及び工業用水等の未利用落差を活用した極めて小規模な水力発電(マイクロ水力発電:100kW以下)に対する関心が高まっています。

政府が、温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減することを国際公約したことで、太陽光、風力、水力などの「再生可能エネルギー」による電力の 「全量買い取り制度」も議論されようとしている情勢ではさらに水力発電に対する取り組みが促進される可能性があります。

先月に引き続き水力発電について紹介しましたが、ご理解いただけたでしょうか?
ダムについてもっと知りたいことや掲載してほしいことなどを、ダム水源地ネットメールフォームよりお寄せ下さい。
今後、 可能な範囲でご紹介いたします。

【参考、引用】

本文
■電気事業連合会ホームページトップページ(http://www.fepc.or.jp/)「電気事業のいま」より
*1:安定供給に向けた取り組み/電源のベストミックス
■資源エネルギー庁ホームページ「施策情報/水力のページ」(http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/)より
*3:水力発電のメリット/電力の一翼を担う水力
*5:社会に貢献する水力発電所/水力発電の歩み
*6:水力開発促進への取り組み/RPS法の概要


図表
■資源エネルギー庁ホームページ「施策情報/水力のページ」(http://www.enecho.meti.go.jp/hydraulic/)より
*2:水力発電のメリット/電力の一翼を担う水力(1日の時間帯別の電源の組合せ)
*4:同/クリーンエネルギー
*7:水力開発促進への取り組み/RPS法の概要