水源地づくりレポート

「吉野川伐採見学ツアー」 (奈良県・大滝ダム)

川上産吉野材販売促進協同組合
(川上さぷり)
 

1.活動の動機


 本村は近畿の屋根と呼ばれ日本有数の多雨地帯である大台・大峰山系をはじめとする山々に囲まれ、吉野川の源流に位置する全国屈指の林業地の村である。
 伊勢湾台風を契機にダム建設が進み、村の中央部もほとんど移転となり村民の大部分が都市部に住まいを求め人口も激減、過疎に拍車をかける事態となった。またブランド材として名高い吉野杉・桧は長引く木材不況による価格低迷の為ほとんど利益がなく山の担い手も育たなくなってきている。
  川上村は吉野林業の中核を担う村であり、林業というものが森林を維持し水を守り環境保全に不可欠な産業であることを説得力をもって訴えていける立場にある。
  その立場から、林業を通じて森林と水を守っているということを訴え、広く一般の人々に理解を深めてもらえるようにし、吉野林業の振興に繋げていきたいと考え、当組合も供給先開拓と事業活動の安定拡大のため都市と山村の交流事業として、吉野杉伐採見学ツアーを実施するに至った。






▲川上さぷり工場見学風景 ▲炊き出しによる昼食風景

2.活動の実施概要

 川上産材の需要開拓のためのPRおよびダム水源地の村づくりとして実際のユーザーである川下の設計士、工務店、住宅施主様向けにPRを実施。
  川上村ファン創りの活動として「もの」の紹介に終わらず「人の交流」を積極的に展開。
  川上村の自然に接し体感してもらう為の交流活動として吉野杉伐採見学ツアーを企画、年2〜3回実施し毎回50名以上の参加者がある。

  100年以上の吉野杉の伐採を間近で見学、村内各施設の見学等、お昼は炊き出しや餅つきをなどで接待する。
  平成18年より川上村役場・川上村森林組合・川上村林産組合共催のもとイベントへの参加・セミナー等を実施し、樹と水と人の共生を目指す川上村・「水源地の村」として林業の振興、自然環境をまもることを使命に、川上産吉野材の普及および啓発に努める。











炊き出しによる昼食風景


伐採風景


伐採現場にて説明をうける


伐採した木の輪切りを見て説明


川上さぷりの工場にて杉の加工板を見ている


川上さぷりの工場にて杉の加工板のニオイを嗅ぐ





















3.参加者の声

 

 「私たちの家に届く水はどこからどのようにしてやってくるのか、その答えが発見できました。」
 「豊かな水を維持するためには豊かな森林が必要であり、ゆたかな緑と清流の恩恵を受け続けるためにはもっと自然を大切にしないといけない。」
 「水源地の村で暮らし働く人々のあたたかいもてなしに感激しました。」
 「木だけじゃなくて、大切にしなければいけないのは水や石や土や生き物全部なんだと知った。」
 「吉野杉を見て自然の力はすごいと感じた。」
 「森があるから、人間は生きていけるんだって事をもっとみんなに分かってほしい。」




4.活動の課題及び今後の展望

 

 水源地の豊かな自然を保全し、より多くの方に吉野杉、桧の良さを知って頂き、安定した木材供給をベースに販路開拓を展開、トータル事業としての完成を目指す。
  川上からの情報発信により森林の重要性、水の大切さを一人でも多くの方に理解して頂き、なぜそこにダムが必要なのかということを訴え、環境面から見た国産材の必要性と普及に取り組むことが山林における衰退に歯止めがかかり、それがしいては地域の活性化に繋がっていく。