水源地紹介
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萱瀬
ダム 〜長崎県大村市〜
水源地ネット編集局 | |
H.O |
1.萱瀬ダムの紹介
長崎県郡川上流に位置する萱瀬ダム、昭和32年7月25日に諫早水害と並ぶ大災害が大村でも起こりました。このような災害を防止するため、昭和34年4月に工事を着手し、昭和37年3月に完成しました。しかし、昭和45年、昭和51年と計画洪水を越える台風豪雨があり、平成6年10月より、かさ上げ工事に着手し、平成12年6月に現在の萱瀬ダムが完成しました。
【ダム諸元】
諸元 | 嵩上げ前 | 嵩上げ後 |
堤高 | 51.0m | 65.5m |
堤頂長 | 180.0m | 240.0m |
非越流部標高 EL. | 227.0m | 241.5m |
総貯水量 | 3,030,000m3 | 6,810,000m3 |
有効貯水量 | 2,630,000m3 | 5,940,000m3 |
治水容量 | 2,290,000m3 | 3,330,000m3 |
利水容量 | 970,000m3 | 2,610,000m3 |
洪水時最高水位 EL. | 226.0m | 239.0m |
取水量(日) | 12,000m3 | 27,000m3 |
【萱瀬ダムの目的】
・洪水調節(F)
萱瀬ダム地点の計画高水流量510m3/sのうち355m3/sを洪水調節。
.河川維持用水(N)
常に川の流れを監視し一定の流れを保ち水の淀みを防ぎ、生き物が住みやすい
環境の保全。
・水道用水(W)
大村市および長崎市に対し、ダム取水基準点において27,000m3/日の供給。
長崎県 県央振興局 長崎県諫早土木事務所
〒854-0071長崎県諫早市永昌東町25-8 TEL:0957-22-0010
※萱瀬ダムは長崎県が管理しております。
萱瀬ダム特別見学と冬の風物詩・しあわせイルミネーションに参加しました。
平成27年12月12日(土)の「萱瀬ダムの見学ツアー」に今回特別に参加しましたので、その概要を御紹介します。
羽田空港から長崎空港までは、およそ2時間、当日は天気もよくきれいな富士山を拝めることができました。
無事に長崎空港に到着すると「長崎龍踊り」が飾られてました。
今回の見学ツアー「萱瀬ダム特別見学と冬の風物詩・しあわせイルミネーション」を企画したのは、「一般社団法人大村市観光コンベンション協会」。大村湾の海岸線から近い場所にダムがあり、大村市と長崎市の水源確保にダムが役立っていることをアピール出来るように企画されたそうです。
ツアー行程は、大村駅を出発し、長崎空港を経由して、萱瀬ダム周辺にある大橋公園、えびねの郷、萱瀬ダム堤内見学、ダム直下からの見学、おおむら夢ファームシュシュにて夕陽鑑賞、萱瀬出張所付近のイルミネーションを見学する予定となっています。
長崎空港から萱瀬ダムまでは車でおよそ14km、約20分ほどで到着します。
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■萱瀬ダムカレー
第1目的地の「えびねの郷」に到着しました。
萱瀬ダムがある北川内地区の人口は約80人、27世帯あり、昔から山や森林を守り、山の恵みで暮らしてきた地区です。その「えびねの郷」は萱瀬ダムの展望公園のある場所に建っている公民館です。
地域の公民館でありながら飲食店としても許可を受けている珍しいところで、ダムカレー制作者の栗山ひさ子さんは、評判の萱瀬ダムをモチーフとした「萱瀬ダムカレー」をいただくのも今回の目的でしょうか。
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▲えびねの郷 | ▲ダムカレー制作者の栗山さん | |
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▲萱瀬ダムカレー |
▲ご飯でダムの嵩上げを表現 |
婦人部「すみれ会」と地元産野菜の手づくり料理を公民館で直売できたらと、町内会や市、保健所等に相談し住民の協力を得て、平成21年4月25日にオープンしました。ダムを望める場所にあることから、週末には観光などで訪れる人が増えているそうです。
お目当てのダムカレーは、竹の器に地元の人気商品「棚田米」と特産品が盛りだくさん、多良山系の黒木渓谷の清流で育ったお米を使用し、今回は萱瀬ダム旧ダムを赤飯、新ダムを白米で表現した見学ツアー用の特別バージョンとなっていました。
放流の表現は、長崎名物の「五島うどん」を揚げたものでパリパリとした食感が楽しめます。
お近くにお越しの際には、堪能してみてはいかがでしょうか。
萱瀬ダムカレーを美味しくいただき、次の目的地、150m先のダム湖に隣接した大橋公園に向かいました。
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▲ダム湖全体図 |
▲萱瀬ダムが見えます |
■萱瀬ダム特別見学
このツアーのメイン、萱瀬ダム特別見学です。このツアーは萱瀬ダムの堤内見学もあり、萱瀬ダムを管理されている、県央振興局、NPO法人長崎県治水砂防ボランティア協会の皆様にダムについて説明と案内をしていただきました。
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▲萱瀬ダムについての説明 |
▲いざ、監査廊内へ | ▲新旧ダムの打継ぎ目 |
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▲ダム嵩上げ図 |
堤内監査廊には、揚圧力計、三角堰、プラムラインなどの計測設備があり、ダムに異常がないか計測しています。 急勾配の階段を下り最下層では礎石が埋め込まれてあり、当時の知事のお名前が刻まれてました。 さて、帰りは45度の階段約40mを息を切らせながら、皆手すりを掴み上がりました。
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次は、ダムの直下にある「ダム下公園」からダムを眺めました。
この日はお天気に恵まれ、前日の雨で、ダム湖の水量が増えていたこともあり、放流量が多く見事なダムの写真がとれました。
萱瀬ダムは山々に囲まれている地形で、雨が降るといっきにダム湖に水が流れ込み水位が上がります。このため嵩上げ前の旧ダムではゲート式だった為、洪水調節が大変難しいとのことでした。
嵩上げ後の新ダムではゲート操作の必要のない自然越流方式を採用、平常時最高貯水位を越えると2門の洪水吐き(穴あき)から流入量の一部が放流され、除々に貯留(洪水調節)していきます。計画を越える洪水になると洪水時最高水位を越え、10門の越流部より水が流れます。
ダム下公園には、東屋やベンチなどもあり、休憩できる設備が整っています。公園内には桜が植えてあり、春になれば綺麗な桜が見られます。
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▲萱瀬ダム下流からの眺め |
■おおむら夢ファームシュシュ
次に全国直売所甲子園で優勝した「おおむら夢ファームシュシュ」に立ち寄りました。
おおむら夢ファームシュシュでは、地元で収穫した野菜やお花、ジャムやジュースなどを販売していました。
お隣の建物では本格的なイタリアンジェラートが販売されてました。
長崎県大村市の福重地区は農業地帯で、昔からフルーツの栽培や酪農が盛んな地域で 梨、ブドウ等のフルーツや旬の野菜、絞りたての牛乳など新鮮な食材がすぐに手に入るのでジェラートに適しているようです。ジェラートの種類は18種類あり、お米や人参、さつまいもなどを使用したジェラートもあり、夏場など大盛況の場所のようです。
また、この場所には夕陽を眺めるのには最適な場所もあります。
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沈んでゆく太陽を皆で眺めました。
最後にツアーを締めくくる冬の風物詩しあわせイルミネーションを鑑賞しました。
毎年12月になると、大村市田下町の国道444号沿いにある大村市役所萱瀬出張所周辺の建物や庭で無数のイルミネーションが飾られるそうです。
萱瀬のイルミネーションの始まりは、長崎県立ろう学校に勤めていた方が、自宅にイルミネーションを飾ったことがきっかけで、これを見た同じ町内の方が、自宅に飾りつけを始め、さらに、近隣の方が声をかけ、徐々に広まり現在では田下町だけでも15軒くらい飾りつけが行われています。
地区の方は、「毎年、子どもたちの喜ぶ声を聞くのが一番うれしか」と日々の仕事のかたわら、半月をかけて飾りつけ、『今年もきれか飾りつけのできたね。毎年楽しみにしとっとよ』。といわれると、それまでの苦労も吹っ飛んでしまうとのことです。
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今回の萱瀬ダム特別見学と冬の風物詩しあわせイルミネーション、ダムの魅力と地域の魅力、どちらも楽しめるイベントでした。
この企画はとりあえず今回初ということですが、今後また萱瀬ダムが大村市、長崎市を含めた水源確保に役立っていることをアピールされ、ダムの役割の必要性を多くの方に理解していただければと思います。
5. 水源地マップ(大村市)
長崎県 県央振興局パンフレットより