2018.07掲載
独立行政法人 水資源機構
下久保ダム管理所


下久保ダム~埼玉県・群馬県

1.下久保ダムの紹介

 下久保ダムは、群馬、埼玉、長野の3県境にある三国山みくにやまに発し群馬、埼玉両県境を流れる神流川かんながわ(長さ約87km)に建設された多目的ダムです。1968年に竣工して本年で管理開始から50年が経過、洪水調節や首都圏への水道用水の供給等に貢献しています。また、ダムの流域は2県5市町村(323k㎡)にまたがり、神流川全体の流域面積の約8割を占めています。東京都心から約80kmと近く、全国でも珍しいL字型をした重力式コンクリートダムで、堤頂の長さ605mはコンクリートダムでは日本最長を誇ります。また、下久保ダム地点の2006~2015年の年間降水量は、1,389㎜であり全国平均1,690㎜に比べ少ない地域です。


【ダム諸元】
形式:重力式コンクリートダム
堤高:129m
堤頂長:605m(コンクリートダム日本一)
総貯水容量:1億3000万㎥
有効貯水容量:1億2000万㎥
内訳 洪水調節容量:3500万㎥
   利水容量:8500万㎥
流域面積:322.88㎢
湛水面積:3.27㎢

【ダムの目的】

●洪水調節
下久保ダム上流から流れ込む洪水2,000㎥/sのうち1,500㎥/sを下久保ダムに貯め込んで残り500㎥/sを下久保ダム下流に放流します。

2007年台風9号通過前
9月5日(貯水位約EL.275.2m)
通過後 9月7日(貯水位約EL.290.7m)

●新規利水
 東京都の水道用水として12.6㎥/s、埼玉県の水道用水として2.3㎥/s、工業用水として1.1㎥/s、合計16㎥/sの河川水を一年を通して新たに利用することができるように調整します。この水道用水は、約440万人の人たちが生活できる水量に相当します。
●不特定かんがい
 神流川においてかんがい期、非かんがい期に必要な水量を確保します。また、利根川において利根川上流ダム群とともに必要な水量を確保します。特に神流川においては、江戸時代の頃より渇水になると激しい水争いが繰り返されてきましたが、下久保ダムによって水不足はほぼなくなりました。
●発電
 用水補給などのために下久保ダムから流す水の力を利用して電気を作っています。この水力発電事業は群馬県企業局が行っています。発電所は、下久保発電所(最大出力15,000kW、最大使用水量12㎥/s)と下久保第二発電所(最大出力270kW、最大使用水量0.323㎥/s)の2ヶ所があり、これらの発電所であわせて1年間に55,170MWh(H19~28年の平均)の電力を作ることができます。これは約1万7千世帯分の消費電力に相当します。

●土砂掃流試験
 ダム下流河川における河川環境の改善を目的として土砂掃流試験を2003年から実施しています。貯砂ダムの堆積土砂をダム下流へ運搬・仮置きし、洪水時等に自然流下させます。下久保ダムから約1.3㎞の国指定名勝及び天然記念物「三波さんば石峡せききょう」では流された砂利で三波石が磨かれ美しい輝きを取り戻しています。


取組前 現在

2. 下久保ダム水源地域ビジョンから神流川ビジョンへ

 下久保ダムでは、地域活性化の取り組みとして2003年3月に「下久保ダム水源地域ビジョン」を策定し、各種行事や地域活動を行ってきました。その後、2006年に「神流川ビジョン」へと衣替えし、より地域住民が主役として活動するものへと発展させています。

【神流川ビジョン推進協議会】

プレーヤー 地域で活動する団体  観光協会、漁業協同組合、学校、NPO法人、ボランティア団体等

サポーター 市町村、自治体、警察、消防、林野庁、国土交通省、水資源機構

【活動内容】

・神流湖ゴミゼロ活動 ・ダムと川の絵コンテスト
陸封りくふうアユ遡上調査とPR ・下久保ダム電光掲示板の活用
・神流湖産神流川産アユ活用会議 ・小学校校外学習
・地元万場まんば高校の活動紹介 ・ご当地フードの開発と支援
・ダムぬり絵コンテスト ・神流川流域災害史カレンダー作成・配布 など
・特撮聖地巡り撮影会  

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3.2018年 50周年を迎えて 4門放流に約3600人が来場

2018年 点検放流と50周年記念イベント
 梅雨の合間の快晴の中、2018年6月24日(日)に常用・非常用ゲートあわせて4門の点検放流を行いました。この点検放流と併せて、1968年の完成以来50年を迎え先人と地域のみなさまへの感謝を込めて、地域と連携した50周年記念イベントを開催しました。前日祭として著名なダムファンによる講演やカルタ大会が催され、藤岡市鬼石町おにしまち神川町かみかわまちの宿泊施設にはたくさんのダムファンや親子連れが訪れました。
 点検放流当日は、普段立ち入ることのできないダムの施設を開放したほか、地元の物産販売やダムグッズの販売、ご当地ヒーローやアイドルによるステージが会場を盛り上げました。


*点検放流とは、洪水期を迎える前に放流ゲートを実際に開閉する試験を行い機能を点検するものです。
 2018年は4月12日に満水を迎えたことから3年ぶりの4門放流(放流を伴う点検)を行うことができました。

ダムマンガ(井上よしひさ先生)とコラボしたポスター・チラシ
きらり☆にぎわい観光会議配布

下久保ダム管理所ホームページ
http://www.water.go.jp/kanto/simokubo/