ダム・水源地トピックス

東成瀬源流シンポジウム2017

2017.10掲載
水源地ネット事務局

 9月9日(土)、秋田県横手市のふれあいセンターかまくら館にいて「東成瀬源流シンポジウム2017」が開催されました。
 今年の秋田県は7月、8月と豪雨に見舞われましたが、当日は快晴で真夏のような暑い一日でした。被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。国土交通省東北地方整備局の高村河川部長の挨拶で、これらの出水において玉川ダムなどが有効に機能し被害軽減に寄与したことを報告されていました。成瀬ダムは平成36年の完成予定とお聞きしましたが、早期の完成が望まれます。



 さて、このシンポジウムは、成瀬ダム建設予定地である秋田県東成瀬村の地域創生に向けた取組みに資するため、地域活性化の取組みを進める活動家、地元で活動する文化人、ダム建設地の首長等が、水源地の地域振興などについて意見交換を行うほか、パネルディスカッションを通じて、ダムを活用した観光振興の促進方策を地域の皆様とともに考えることを目的に実施されるということで、当水源地環境センターも協賛させていただいたものです。


 プログラムは、開会、オープニングコンサート「~なるせの源」に続いてパネルディスカッション「ダム・源流を活かした地域づくり」と進められました。



 会場には、プログラムの合間などに見られるよう、雄物川や成瀬ダムに関するパネルが展示されていました。コンパクトな会場でしたがほぼ満員で、350人程度と主催者からお聞きしました。以下に、開催状況について紹介します。




●オープニングコンサート ~なるせの源

 オープニングコンサートは「横手かまくら太鼓」のジュニアチームの「明神太鼓」の演奏からはじまりました。地域伝統芸能を受け継ぎながら楽しそうに演奏している姿が心強く感じられました。



  続いて、伝説のバンド「オフコース」のドラマー、JIRO OMA氏(この後のパネルディスカッションに参加)と天才津軽三味線奏者、HIRO KUROSAWA氏のユニット「TEN-CHI-JIN(天地人)」による演奏です。
 「TEN-CHI-JIN(天地人)」は、「オフコース」解散後、出身地の秋田に戻ったJIRO氏と津軽三味線の最高峰「仁太坊賞」を三連覇し、「鬼才」と呼ばれる岩手在住のHIRO KUROSAWA氏が出会って結成されたユニットで、東北を拠点にライブ活動を行っています。東日本大震災以降、東北復興の応援活動を精力的に行っているそうです。
JIRO氏のドラムが奏でる和と洋のビート、KUROSAWA氏のエレキ三味線の清冽なメロディーと高度なテクニックに圧倒された一時でした。

 続いて登場したのが、山木屋太鼓の遠藤元気氏です。東日本大震災で被災しながら「和太鼓の魅力」と「福島の今」を伝える活動を精力的に行っているそうですが、その迫力ある演奏に体の底から感動が沸き上がりました。


 最後は、「TEN-CHI-JIN(天地人)」と山木屋太鼓の遠藤元気氏、明神太鼓の子供たちとの共演でコンサートは終了しました。


●パネルディスカッション「ダム・源流を活かした地域づくり」


   
  パネルディスカッションは、気象キャスターの岩谷忠幸氏がコーディネーターで、オープニングコンサートで演奏いただいた大間ジロー氏(ミュージシャン)、佐々木哲男氏(東成瀬村長)、高橋大氏(横手市長)、國定勇人氏(三条市長)、関和典氏(西目屋村長)、町屋政蔵氏(成瀬ダム工事事務所長)により「ダム・源流を活かした地域づくり」をテーマに行われました。

 はじめに、「インフラツーリズムの取組み」として國定市長と関村長より先進事例の紹介がありました。國定市長、関村長、高橋市長は昨年3名で「ダムツーリズムを考える首長の会」を発足しているそうです。
 國定市長は、「~感じよう あふれる自然・歴史ロマン・未来絵へつなぐ土木技術~秘境八十里越体感バス」と「今しか見れない!笠堀ダム特別見学と大谷ダム探訪ツアー」について紹介されました。

 関村長は、津軽白神湖周辺を核とした、村全体をフィールドとする観光振興として「水陸両用バスで津軽ダムを活用したダムツーリズム」について紹介されました。
 続いて、「ダムを活かした地域づくりの構想」として高橋市長と佐々木村長から説明がありました。

 高橋市長は、「ダム上下流の地域間交流、ダムを活かした観光ルートの展開」として横手の「かまくら」や「まんが美術館」などとの連携について紹介されました。  

  佐々木村長は、自然と文化の「仙人郷」と題して成瀬ダムを活かした観光資源の創出について、東成瀬村の現状の紹介と、成瀬ダムへの期待として「ダム・水・音」を活かした工夫ができないかとの考えを紹介されました。

 佐々木村長の発言を受けて、大間氏がアーティストとして大自然を背景にダムを舞台とする環境、水・星空・自然と音楽との融合の可能性について語られました。
   また、町屋事務所長は、佐々木村長、大間氏の発言を受けてダム事業者として、ステージ、トンネル、ダム下流などの活用を前向きに検討したいとの発言がありました。

 それぞれパネリストが一通り発言された後、関村長が津軽ダムでは下流の弘前市と上流の西目屋村の人の繋がり(絆)が強くなったように、成瀬ダムでも横手市と東成瀬村の交流が新たな文化となることを期待したいと発言されました。

 この発言を受けて、高橋市長、佐々木村長も上下流が連携し、ダム・源流を活かした地域づくり向け、将来に繋がる有意義なディスカッションができた旨の発言で締めくくられました。



 おわりに、「東成瀬源流シンポジウム2017」に参加して、ダムに寄せる地域づくりへの期待の大きさを実感したことと、アンケートを提出したら思いがけず成瀬ダムのダムカードを手に入れることができました。また、シンポジウムの後の意見交換会で大間ジローさん 黒沢博幸さん 遠藤元気さんと直接お話ができたことは大変光栄でしたし、貴重な体験となりました。