第9回 みちのくダム湖サミット in森吉山 開催される!!

2017.12掲載
一般財団法人 水源地環境センター 矢沢 賢一


平成29年10月12日(木)、秋田県北秋田市「北秋田市民ふれあいプラザコムコム」において、森吉山ダム管理移行5周年を兼ね、東北六県の国直轄管理ダムの活力ある水源地域の創出にむけた、「第9回みちのくダム湖サミットin森吉山」が約300人の参加者を得て盛大に開催されました。以下に概況を紹介します。


チラシ


1.主催者挨拶、来賓挨拶

●主催者挨拶
東北ダム事業促進連絡協議会 管理研究部会 部会長
北秋田市長 津谷永光氏

 ダム湖サミットは、東北ダム事業促進連絡協議会、管理研究部会の事業として直轄ダムの活力ある水源地域の創出に向けて、意見交換や情報交換を行うために毎年開催(平成19年度湯田ダムを初回に、途中平成23~24年は中断)している。今年は、管理移行から5周年を迎える森吉山ダムが位置する北秋田市での開催となりました。と御挨拶がありました。

●来賓祝辞
東北ダム事業促進連絡協議会 副会長
岩手県 奥州市長 小沢昌記氏

 最近は、短時間に多量の雨が降っている。これをしっかりダムが受け止める、ダム本来の働きが、我々の日常生活を支えてくれている事を強く認識させられているが、「ダムを如何に活かそうか」と言う気持ちこそが何よりも大切な考え方ではないかと思っている。改めて、ダムの恩恵を考える機会になれば良いと思っている。
 意義のある、サミットになることを願っています。と御挨拶がありました。
●来賓祝辞
国土交通省 東北地方整備局 河川部長 高村裕平氏
 今年、7、8月雄物川流域を襲った大雨により、非常に大きな出水が発生し、雄物川沿川に被害をもたらしたが、玉川ダムの活躍により、被害軽減が図られた事例紹介をされ、ダム本来の効果を発揮しつつ、水源地 域の活性化を如何に図っていくか、知恵を集めて、今後、我々は何をやっていくのか、また、何をやっていかなければならないのか、しっかり議論していただき、次の施策につなげて行ければと思っている。
 本日のこの議論に期待しています。と御挨拶がありました。




2.基調講演

●最近の河川行政の話題
国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課長 森川幹夫氏

 最近の河川事業の話題として、盛り沢山の情報紹介があり、ダムの効果は、洪水と渇水の両方に貢献しているが、水源地域を如何に活性化して行くかが課題であるとし、東北で市町村側から企画し実施していただいているダム湖サミットのような取り組みを全国展開出来ないか考えています。という基調講演がありました。



3.活動報告

●日本のアウトドアの聖地を目指して
森吉山ダム水源地域ビジョン実行委員会委員長 加藤 寿氏

 森吉山ダム水源地域ビジョンの活動内容と課題等について、熱のこもった事例紹介があり、一時的なイベントは活性化に繋がりにくい。参加した人が帰宅してから周囲の人に吹聴したくなるような魅力を感じさせるフィールドを提供、伝えることが大切だ。と言う活性化に当たっての取り組みポイントを述べられ、活動報告をまとめられました。




4.パネルデスカッション ダムの効果と水源地域の活用

コーディネーター 秋田大学北秋田分校 分校長 濱田 純氏
 津軽ダム、白川ダム、三春ダム、森吉山ダムの各所在地首長をパネリストとして迎え、濱田先生の進行でパネルデスカッションが行われました。
 まず、各パネリストから、ダムの効果と水源地域の活用に関する事例について、現状報告があり、引き続き、ネットワークの形成、ブランド化・アクセス、ダムの利活用の順に活発な意見交換が行われ、それぞれについて、アドバイザーから、今後の活動に役立つと思われる貴重なコメントを頂きました。




★山形県 飯豊いいで町長 後藤 幸平氏(白川ダム)
○飯豊町は、人口7,300人、全面積の84%が森林。散居村風景が(田んぼの中に集落が分散して見られる珍しい光景)見られる町。
○明治11年に英国の旅行家イザベラバードが当地を訪れ「緑豊かな桃源郷、東洋のアルカデアである。この景観は、すばらしい」と絶賛していただいている。

○日本で最も美しい田園散居村の村、それだけでは地域の所得向上に繋がらないので、電気自動車のバッテリーの研究をする山形大学の研究センターを誘致し、多くの会社から人材を集め、研究を始めている。
○食の町、米、アスパラガス、どぶろく、米沢牛の主産地となっている。米沢牛は、GI(地理表示)を取得したので、今後、どのように生産拡大していくかと言うことが課題。
○白川ダムは、飯豊山の麓にある。ダム上流端に白川荘と言う温泉があり、その上流には間欠泉がある。ペンション風のホテルもある。10戸の農家民宿があり、評判が良く、最近は外国(台湾等)からのお客が訪れるようにまでになっている。
○4月には1,000人が参加するマラソン、夏場の雪祭り(スノーエッグ)が定着している。
○飯豊町は水の豊富な町だと言われている。しかし、実態として水が豊富な町ではなかった。町内には、上杉藩が取り組んだ沢山の治水・導水施設遺産があり、水に苦労してきた町である。だからこそ、水を無駄に使わないとする生活用水と農業用水を同一にする散居村型式が発達した。白川ダムの建設により、水が使えるようになり、水不足の心配は無くなっている。
○ネットワークは大切だ。すばらしいアイデアを共有することも有効だと思っている。しかし、やはり悩みを抱えている。水源地域の衰退、人口減少の問題。かつて白川上流には、約1,500人の人口があった。白川ダムで150戸水没し、その上流の半分が残存し、どのように再生するかと言うことが課題だった。
○残念ながら学校の閉校、埼玉県桶川市と長年続いていた山村留学が続かなくなり、小中学併せて7名しか居なくなった。いろいろ頑張ったが、定住人口の増加には繋がらなかった。
人口減少に歯止めがかからない。現状を維持することが課題。
○ブランド化については、中津川地域名が通っている。雪祭り、花笠の製造、雪室等が山形県内でも有名である。
○アクセスについては、平野部から20km入ることになり、かなり厳しい状況。昨年も雪崩が発生し、スノーシェットを作っていただいたほどの所。水源地域までのアクセスをどうするかが今後の課題。
○高齢者に対しては、デマンド交通を取り入れている。観光は、マイカーに頼らざるお得ない。
○意気込みという点では、中津川、白川ダム周辺の環境農村文化は、これは町の看板、これなくして町おこしはない。水があり、森があり、花笠、全国から染織家、陶芸家、音楽家等のクリエーターが集う所になっている。その地域の農山村文化を是非開花させていきたい。戦後、70年が経過し、多くのものを忘れてしまった。置いてきてしまった。すばらしい農村文化を再生しようと考えている。
★青森県 西目屋村長 関 和典氏(津軽ダム)
○西目屋村は、人口1,358名、青森県内で一番小さい村、面積の9割は森林の村。世界遺産と水源の里。
○今やれること、やれたら良いことに全て取り組んでいる。水陸両用バスに取り組んでいる。東北で運行しているのは、津軽白神湖以外には無い。民間に委託してやっている。
○今、カヌーに力を入れている。将来、国体のカヌー競技を誘致したい。

○味噌など、昔から村にあったものを復活させることに取り組んでいる。
○インフラツーリズムは、周辺に広がる様々なエリアの観光地と組み合わせていくこととしている。しかし、冬に水陸両用バスは、使えないので貸し出す等、無駄のない活用を考えている。
○ダム湖サミットは、大事だ。ここに参加してみて初めて知ることが沢山ある。
○弘前桜祭りの時、水陸両用バスを弘前市内まで走らせた。上下流交流になればと取り組んでいる。これからも発展させていく。広域的な連携を進める。
○弘前市から約17km、鉄道はない。もっぱら車がアクセスの主体となる。幸い、道路は、ダム工事で改良されており、弘前から20分でこれる。昔から比べると時間距離が半減している。便利になったことでむしろ、弘前市から西目屋村に流れてくる可能性が出てきた。
○物産の拠点となっている「白神山地ビジターセンター」が役場の周辺に整備されている。道の駅に登録していただく事になっている。秋に華々しくオープニングする事を予定している。
○津軽ダムは、直轄ダムで初めてグットデザイン賞を頂いたことを宣伝したい。まず、看板を作り設置したい。ただ、職員40人程度しかいない中で、あれもこれもみんなやっている。色々な活用したい財産があり、どうやって活用していったらよいのか、無駄な使い方をしていないか、このような場での議論を持ち帰り、検討したい。
○まさに、世界遺産と津軽ダムのこの路線で、常に何か情報を発信していきたい。
○ダム建設によって村が良くなった事例を益々情報発信していきたい。津軽ダムを無駄にしないように活用していきたい。





★秋田県 北秋田市長 津谷 永光氏(森吉山ダム)
○北秋田市は4つの町が合併して誕生した。人口33,000人、面積は秋田県内で二番目の大きさを誇る。
○アクセスとしては、大館能代空港から1時間、秋田内陸縦貫鉄道(角館から94.2kmを結ぶ)等もあり、インフラがと整っている所と自負している。
○前田南駅は、「君の名は」に出てきた駅ではないかとされ、聖地

巡礼のお客が増えている。食としては、鮎、馬肉、バター餅、熊鍋等が人気を博している。
○平成23年森吉山ダムが完成し、森吉四季美湖が誕生した。今年の7月洪水では、森吉山ダムの効果により、平成19年の洪水で被害が生じた阿仁前田地区に被害はなかった。
○森吉四季美湖周辺の活動としては、実行委員会主催で秋田銀行等の協賛を受け、多数の一般参加者を集めて下刈り、植樹作業を行っている。ダムカレーが誕生しており、ダムカレーカードも用意されている。
○マタギの知恵体験学習(8月18日~20日)として、二泊三日、参加者は地元12名、東京から4名の参加により、「命をいただく」マタギの食体験を実施している。比内鶏の羽根むしり、ひねり、解体を経験させて「きりたんぽ鍋」を一から作る体験学習。ふるさとを愛する心を高めると共に、今後、この活動を通じて地域の活性化に取り組んで行く。
○阿仁前田駅の近くに温泉施設がある。訪れる人は、ほとんどマイカーで来る。阿仁前田駅からデマンドバスが出来ないか検討している。
○四季実湖祭りでは、シャトルバスで送り迎えをしている。アクセス的には、全く弱いと思っている。アクセスは、これからの重要な課題。
★福島県 三春副町長 坂本 浩之氏(三春ダム)
○三春町は、人口約16,000人、郡山市の東側に位置する町。滝桜が有名。これ1本で約17万人が訪れている。来年は、伊達正宗に嫁いだ「めご姫の生誕450周年」を迎えるため、今年から来年にかけていろいろなイベントが企画される。
○伝統工芸等として張り子人形、三春駒、三春だるま市が有名。
○ダム周辺のイベントとしては、約1,500人の参加がある「さくら

湖マラソン」、約1,800人の参加で水ウォークの実施が定着しており、三春ダム堤体を通過するコースも用意されている。
○カブ主総会(ホンダのスーパーカブミーテング)等も定着し、話題を集めている。その他にブルーベリー収穫体験、さくら湖環境フォーラム等アカデミックな取り組みも行われている。
○今年の4月、JR磐越東線三春駅から町営バスを走らせている。終点は、田園生活館(道の駅的な施設)。そこでは地元の新鮮な野菜等買い物や食事が出来る。12月には、更にバス1台を買い入れる事になっており、より観光に貢献する事を期待している。
○三春ダムは、里ダム、普段着のダム、ちょっとそこまで、と言う感覚で訪問できるところ。ダム周辺には30万人以上の人々が生活している。日曜日朝から子供を連れで行ける金のかからない所。日常生活の中で利用できる所に磨きをかけて行きたい。帰りがけに田園生活館に立ち寄り、農産物でも買っていただければよい。










ド化と民間の力が成功している事例のカギになっている。

(水源地域におけるブランド化・アクセスについて)
○ネットワークは、国の施設だけではダメだ。民間の施設や道の駅等を確認して、ネットワークで

どう繋ぐかだ。
○自転車は、通常、折りたたまないと電車内へ持ち込めないが、そのままの形で電車にのせられると言う、地域の実情を踏まえた取り組みの事例もある。(利用率の低い列車を利用した実例)
○ブランド化については、ダム堤体でのグットデザイン賞は珍しい事なので、情報発信して、マスコミ等の取材に来てもらえるような取り組みもあるのではないか。

(水源地域におけるダムの利活用について)
○気に入ったところに住めば良いでは、地域は良くならない。そこに住んでいる方々が一生懸命に地域を良くするように地道に取り組んで行くことで地域が良くなって行くと思う。
○東北は、公共事業に対する理解が高く、ダムが愛されていると感じた。地元の皆様が企画し取り組んでいただいているダム湖サミットを全国的に展開していきたいと思っている。
○ダムの効果について理解していただき、地域の目線で感謝していただけるよう情報発信していきたい。
★アドバイザー
国土交通省 水管理・国土保全局 河川環境課長 森川幹夫氏
(水源地域におけるネツトワークの形成について)

○地域づくりに成功している事例をよく見ると、ブームを利用していることがわかる。非日常の経験というか、トレッキングとか地形資源を利用している。
○ダムがなぜ受けるかと言うと非日常の大型構造物で普通は入れ

ない所を活用するからだ。ダムの場合は、ダム本体と貯水池、貯水池は海と異なり波が静かで利用しやすい。どのように活用していくかが課題だ。例えば、ブラタモリも、大型構造物の地形、地質、技術、歴史等何となく我々が今まで考えてこなかった事に興味をもつようになってきている。そう言ったブームをつかんで行くことが大切。
○豊岡市が、コウノトリを使ってブランド化をしている。「コウノトリの住める地域をつくる」生活環境を作ることで子供に優しいと言うブランド化を継続的に全国的に発信する仕組みを作っている。それに結びつけて地域の特産(酒等)を売り込んだりするなど観光化している。これらの取り組みは、ボランティア活動だけでは難しい。民間の力を如何に活用して行くかにかかっている。
○本日のサミットでとても良い話を聴いた、これら各ダムの良い取り組みを情報発信する事が大切ではないか。
○旅行会社とタイアップした他の観光施設とダムを巡る企画。関西で取り組んでいる事例として世界遺産、かやぶき屋根、音楽、ダムと結びつけてやっているところがある。最初日本人だけだったが最近は外人客も多くなった。平日だけでやっていたものが休日でもやるように発展する。その場合、負荷がかかってくる等の課題もでてくるが、事務所の職員にも知恵を出し合って乗り越えることは可能だ。ブラン





5.おわりに


ネットワークの形成、ブランド化とアクセスの課題、観光拠点の可能性についてのディスカッションは、用意された1時間30分、途中退場者をほとんど出すことなく、時間を忘れほどの活発な意見交換等で有意義な時間を持つことが出来、会場内われんばかりの拍手で鳴り止まない中、惜しまれつつパネルディスカッションを終了しました。

引き続き、北秋田市長 津谷 永光氏により、水源地域の宝であるダム湖周辺の豊かな自然や美しい景観を環境学習や観光、上下流域の交流の場として利活用することで活力ある水源地域を創出するための、「みちのくダム湖サミット宣言」を会場の全参加者に向け、声たからかに宣言して誓いを表明されました。

最後に、来年度サミット開催地である岩手県盛岡市長(代理副市長)から、次期開催地での再会を約束する御挨拶があり、第9回みちのくダム湖サミットin森吉山は、無事閉会しました。