ダム・水源地トピックス

With Dam ★ Night in KISOGAWA

2018.01掲載
一般財団法人 水源地環境センター 石原 篤

▲学生やダムに関心のある方々約110名が参加されました。

 昨年11月14日に岐阜県美濃加茂市に於いて、(一社)ダム工学会が主催する「With Dam ★ Night in KISOGAWA」が開催されました。その状況を報告します。
 
 “With Dam ★ Night”は、シンポジウムを通じてダムの魅力を発見・発信する一夜だけのイベントで、これまでは近畿地区を中心に行われてきました。今年は、福岡市に続いて今回の美濃加茂市にて開催し、引き続き多賀城市でも開催されています。  

 
▲ヘルメットに作業着姿の女性司会者(時に笑顔こぼれる様な和やかな進行でした)
 

 プログラムは、主催者のダム工学会長の挨拶より始まりました。トークショーでは「木曽川の治水の要 パワーアップ!新丸山ダム」と題して川瀬新丸山ダム工事事務所長から新丸山ダム事業の概要が説明されました。


  
▲魚本 ダム工学会会長の挨拶



▲川瀬 新丸山ダム工事事務所長の講演
▲よっしーさんの講演
▲加藤 丸山笠置発電所改良工事所長の講演

 新丸山ダム事業は、昭和31年に完成した既設丸山ダムを約20メートル嵩上げする再開発事業で、昭和58年の美濃加茂大水害を契機に昭和61年度から事業化されています。昨年国土交通省で発表された「ダム再生ビジョン」にも既設ダムの有効活用で堤体かさ上げとありますが、この事業では既に30年近く前より既設ダムの有効活用事業に着手しており、正に本ビジョンを先取りした事業となっています。本年度より転流工(仮排水トンネル)の工事を始めており、本体工の着手や事業の早期完成が熱望されています。

 引き続き、岐阜県県土整備部河川課の清水さんから「岐阜県のダムの有効活用について」ということで、既設ダムの河川環境や農業用水のための放流施設を改造して民間発電事業者による発電を行っていることについて発表がありました。

 岐阜県の管理する治水ダムの阿多岐ダムと丹生川ダムにおいては、平成24年に岐阜県と中部電力が協定を締結し、今年度までに2ダムとも発電を開始しているとのことです。このように再生可能エネルギーの有効活用は「ダム再生ビジョン」にも掲載されている方策の一つとなっています。 
 
 
 次に、ダムマイスターの佳(よっしー)さんから「ココが好き!木曽川のダム」という発表がされました。
 
 ダムマニアに対して木曽川の好きなダムに関する独自のアンケートを行い、丸山ダムがみごと第1位に輝いたことの報告や、常日頃、丸山ダムのいろいろな写真を撮られており、それらを魅力たっぷりに話されました。
 

 また、(独)水資源機構中部支社事業部の小澤次長から「愛知用水とその水源たち」と題して牧尾ダムや阿木川ダムなどの紹介がありました。


 トークショーの最後は、関西電力(株)丸山笠置発電所改良工事所の加藤所長から「木曽川の水力開発」と題して、大正時代から始まり福沢諭吉の娘婿の福沢桃介が造った大井ダムを始めとした水力発電ダムの紹介と、丸山ダム建設及びその後の水力開発の話をされました。丸山ダムは第二次世界大戦中に建設が始まり、資材調達ができないため中断して昭和29年に発電開始、31年に完成したもので、この時の建設会社・作業員等が天竜川の佐久間ダム建設に携わり、さらに「黒部の太陽」で有名な黒部ダム建設にも携わったとの説明がありました。  

 
 


 閉会に先立ち、地域の特産品やダムマニア向けのレア物が当たるダムビンゴゲームが実施されました。レア物には、岩検用のハンマー3セットや味噌川ダム基礎岩盤コア10セットなどもあり、大いに賑わっていました。(因みに当方は、4リーチまで行きましたがビンゴにはなりませんでした。)


▲京都大学 角教授の挨拶
 

 閉会の挨拶は京都大学防災研究所の角教授がされ、約3時間に及ぶイベントは盛大に終わりました。