鳴子ダム「日本酒の長期熟成酒」の取り組み ―鳴子温泉に名物を!―

国土交通省 東北地方整備局
鳴子ダム管理所長 佐藤 徳男

△晩秋の鳴子ダム(令和2年11月10日撮影)

東北に冬の足音が・・今年の鳴子ダムの紅葉は数年に一度の当たり年!とても綺麗です。連日、多くの方が訪れています。鳴子温泉郷は東北でも一、二位を争うほどの紅葉の名所なのです。さて、お土産は何が良いかな?地元の方に聴いてみると・・・

「ウーン」・・・「栗団子かな?」・・・当方は左党で甘いものはチョット・・・

これは鳴子温泉に名物を生み出さねば!

鳴子ダムには堤体の中にトンネル(監査廊)が2本有ります。この中の温度は年間を通じて13度で安定しています。ここで何かできないだろうか?日々考えていました。

ある日、とある酒造メーカーの試飲会に行ったところ、「近年は、古酒が女子受けしているが、古酒を名乗るには3年の熟成が必要だ」とのこと。そこで、ダムの監査廊内の室温のことを話したら「是非やらせて頂きたい」とのことでした。

そこからは、大崎市と協議を重ね大崎市長と鳴子ダム管理所長とで協定を結び、大崎市の「長期熟成酒」の取り組みに鳴子ダムの一部を占用させることとしました。その後、大崎市内の酒造メーカーに長期熟成酒実験への参加を募集しました。令和2年1月24日のことです。

△大崎市長と協定の握手 多くのマスコミに取り上げられました

最終的には(株)一の蔵と(株)新澤醸造店、(一社)大崎観光公社が名乗りをあげ、4合瓶で約700本のお酒が貯蔵されました。現在も静かに監査廊で時を刻んでおります。今年搬入されたお酒は、あくまで実験であり販売の予定は未定となっております。3ヶ月毎に試飲を繰り返し、味の変化を確認しております。

参加した酒造メーカーは「鳴子ダムの長期熟成酒は浪漫である!」と言っておりました。搬入されているお酒は精米歩合7%の超高級酒から本醸造酒まで多様で、中には火入れを行っていない生きた原酒も含まれております。

新たな鳴子温泉郷の名物「鳴子ダム長期熟成酒」を早く味わいたいものです。

最後になりますが、本取り組みのためには、酒造法の各種手続きや許可など多くの手間がかかります。御賛同頂き協力を頂いた大崎市長と大崎市の職員の方々、各酒造メーカーの方々に深く御礼申し上げます。