水源地を旅する 第二弾「吾妻川流域をドライブする」


■はじめに

 吾妻川流域には八ッ場ダム、草津温泉と有名な観光地が2つありますが、ほかにも魅力はいっぱい。今回は温泉や道の駅等の王道スポットに立ち寄りながらも、雑踏を少し外れた場所も訪れるドライブコースをご紹介します。新鮮な果物や野菜、巨大な工事現場や見学が出来る不思議な工場、そしてすばらしい温泉。家族連れ、一人旅、友達同士、カップル、誰が行ってもそれぞれの楽しみ方を見つけられるコースだと思います。

■今回のスタート地点、道の駅八ッ場ふるさと館までのアクセス

スタート地点は道の駅八ッ場ふるさと館(A)

 東京方面からは、練馬ICから関越自動車道で約2時間の渋川伊香保ICで降ります。渋川ICからは一般道で約40キロ、1時間ほどです。

■品木ダムを目指して

道の駅八ッ場ふるさと館(A)は見どころいっぱいですが、それは帰り道の楽しみにとっておいて、今回は幸の神いちご直売所(B)【地図】に寄ってみました。1月から7月の収穫シーズンで選別作業をしていれば立ち寄ることができます。新鮮なイチゴを農家の方から直接購入することができます。

 直売所というより作業場のような感じですが、ちゃんと営業しています。

 この日は選別作業の準備中。農家の皆さんのステキな表情をぜひお伝えしたいのですが、残念ながら恥ずかしいとのことで顔はNG。ぜひ直接会いに行ってみてください。章姫とやよいひめの2品種が売られていて、ジューシーな「章姫」、味の濃い「やよいひめ」といった感じです。道の駅でも買えますが、直接買うのが断然オススメです!

 さらに進んで、赤岩集落に寄ってみましょう。赤岩水車組合(C)【地図】にはトイレもあるので、少し休憩していってもよいでしょう。

 水車が回るのどかな風景は、ずっと見てられます。

 時間がある方は付近を散歩すればかつて養蚕で栄えたことを思わせる街並みが広がっています。

さらに進み、道の駅六合 【地図】(D)にも寄ってみましょう。ここには食堂、温泉があるのでゆっくり休むことができます。

 まずは食堂しらすなで腹ごしらえです。

 今回注文したのはかけそばと天ぷら。これで750円です。見た目は素朴だけどそば、つゆ、天ぷらすべてがハイレベル。田舎の食堂で腹ごしらえ程度の軽い気持ちで寄ったら、今回の旅で一番の感動でした。

 時間があれば日帰り温泉も楽しめます。草津温泉の上がり湯としてこの地域では昔から愛されていたそうです。

 さらに5キロ程度進み品木ダム入り口の看板がある場所(E)で右折します。

 1キロ程度舗装路を下れば、ちょっとした広場(F)からこんにちは品木ダム。

 入浴剤のような独特の色に驚かれる方もいるかもしれません。上流にある強酸性の草津温泉の源泉から流れてきた水に石灰を加えて中和すると沈殿物が発生します。その沈殿物を溜めるのが品木ダムの役割。こういう目的で建設されたダムは日本で唯一です。

 さらに左岸側(G)まで行って本体も見学してみましょう。立派な重力式コンクリートダムです。堤体の色あせ・黒ずみは「死の川」と呼ばれた吾妻川を蘇らせそれを維持してきた証です。

 左岸のダム湖側から(H)。ダムの真ん中には立派なゲート、右岸側には管理事務所があります。

 しばらく眺めたら、品木ダムとセットになって運用されている草津中和工場に向かいます。

 

■草津中和工場

 草津中和工場【地図】は、品木ダムから5キロほど。4月中旬から11月末頃までの金土日曜と祝日(夏休み期間中は毎日)の8時半から17時までの間、工場に併設されている体験型学習施設の見学ができます。もちろん駐車場(I)もあります。この工場では、強酸性の川の水に、石灰石をプラントで細かく砕いてから水を混ぜて液体状にしたものを24時間投入し続けています。ここでは強酸性の水を1日約10トンもの石灰を用いて中和しています。そして、中和の際に発生する沈殿は先ほどご紹介した品木ダムに貯められます。

 石灰を川に投入しています。(J)

 環境体験アミューズメント」では実験しながら楽しく中和の仕組みについての勉強ができます。特に親子連れにオススメ。夏休みの自由研究にいかがでしょうか。

 このほか、夏休み期間中の平日には、工場本体の見学ができるガイドツアーも行われています。ガイドツアーの開始時刻に合わせて、旅行の行程を組んでみてはいかがでしょうか。ツアーの開催時刻は限られているので、ご興味のある方は夏休み前の時期に品木ダム水質管理所のホームページで時間を確認すると良いでしょう。

■草津温泉を散策

 時間があれば草津温泉の駐車場(K)に駐車して、街のヘソである湯畑(L)などを散策してみましょう。草津温泉を散策し終えたら、20キロ程度のドライブでスタート地点の道の駅八ッ場ふるさと館(A)に戻ります。

 

■八ッ場ふるさと館でショッピング

 八ッ場ふるさと館でおやつとお土産を買います。

 パン屋さんでは八ッ場ダムカレーパンが売っています。遅い時間に行くと売り切れていることもあるのでどうしても食べたい方は午前中に行くことをおすすめします。

 直売所では、東京のスーパーでは絶対に買えない新鮮な野菜、果物が破格の値段で売っています。季節や天候によって商品は変わりますがいつ行ってもとっても高品質の商品を買うことができ、ここで買うお土産はいつも家族や友達から大好評です。

 食堂では八ッ場ダムカレーを食べることができます。マイタケがいい仕事をしています。全国各地で様々なダムカレーを食べてきましたが個人的にはナンバーワンだと思っています。辛いので、お子様連れの方、苦手な方はお気を付けください。

■最後に八ッ場ふるさと館の周辺観光を

 周辺のオススメスポットをいくつかご紹介します。天気が良ければ歩いても行けます。王湯まで車で行って、そこから歩いて八ッ場大橋を渡り、八ッ場見放題から完成間近のダムを眺めるルートを地図には載せました。

 まずは王湯【地図】(M)。八ッ場ダムの工事開始前は水没予定地で営業されていましたが、今はダムができても沈まない高い場所で営業されています。素朴な温泉ですが、露天風呂もありますので帰りのドライブに向けてここでしっかり体を休めておきましょう。

 八ッ場大橋【地図】(N)からは、八ッ場ダムを正面から見ることができます。工事中で水が全く溜まっていない八ッ場ダムを見ることができるのは今だけです。日本一の高さのバンジージャンプも今年秋までの期間限定で行われています。

 八ッ場大橋を左岸側へ渡って下流側に少し歩けば八ッ場見放台【地図】(O)。八ッ場ダムを見る特等席です。私が行ったのは週末だったこともあり大変にぎわっていました。川原湯温泉に近い場所にもダムを展望できる「魅どころ(P)がありますので、そちらを訪れるのも良いでしょう。どちらの場所にも駐車場もあります。

 このほかにも、周辺では八ッ場ダム工事現場見学ツアーなども行われており、八ッ場ダム工事事務所のHPなどに詳しく紹介されているほか、道の駅八ッ場ふるさと館(A)でも情報が得られます。

■おわりに

 吾妻川流域の旅の一例をご紹介してみました。今回は、私が心惹かれるモノやコトを体験、見学してみました。このエリアには多彩なスポットがあるので、それぞれの方が心惹かれる何かに出会われることを心より願っています。

写真・動画(中和工場関連を除く)・文:ダムライター猪野光太郎(いのっち)
中和工場関連の写真・動画:国土交通省関東地方整備局品木ダム水質管理所

■今回のルート