水源地域ビジョン

事例紹介『中筋川ダム』

2017.12掲載
国土交通省四国地方整備局
中筋川総合開発工事事務所

1.中筋川ダムの紹介

(1)中筋川ダムの概要

 中筋川ダムは、渡川水系中筋川の高知県宿毛市平田町黒川地先に建設された多目的ダムで、現在建設中の横瀬川ダムと併せて高知県西南部における総合開発の一環をなしている施設です。

・形  式 : コンクリート重力式ダム
・ダ ム 高 : 73.1m
・堤 頂 長 : 217.5m
・堤 体 積 : 274,000m
・総貯水容量 : 12,600,000m
・有効貯水容量 : 12,000,000m


(2)中筋川ダム事業の経緯



 昭和47年4月  予備調査に着手
 昭和57年4月  実施計画調査着手
 昭和59年3月  建設事業着手
 平成元年9月  本体工事着手
 平成6年4月  「地域に開かれたダム」認定
 平成7年11月  試験湛水開始
 平成8年7月  ダム湖の名称を「蛍湖」に決定
 平成10年5月  試験湛水終了
 平成10年8月  中筋川ダム竣工式
 平成11年4月  ダム管理開始
 平成15年6月  「中筋川ダム水源地域ビジョン」策定


(3)中筋川ダムの特長(景観デザイン)

【階段状の下流面】

 単調となるダム下流面を階段状にすることにより景観と機能を両立させたデザインとしています。これは、階段状にすることにより、越流水の勢いを押さえながら、豊かな表情を与えています。(ステップの高さ75cm、85段)



【左右対称】

 堤体中央部にあるオリフィス吐口は、左右の高さが2mも違いますが、下流から見た時には左右対称に見えるデザインとしています。また、2つの塔も機能的には同じ高さではありませんが、高さを合わせたデザインにして、鳥類の観察等に利用しています。



【天端照明】

 照明ポールが複数立ち上がると煩雑な印象となるため、一般的なポール照明から高欄照明にしています。また、生態系への配慮のため、低誘虫性蛍光灯を使用しています。






2.地域に開かれたダム

 中筋川ダムでは、平成6年度に認定を受け、地元自治体と共同で、ダム湖及び周辺の整備を実施しています。


   
▲梅の木公園の写真 ▲ダムサイト公園の写真 ▲ダム見学所の写真



3.水源地域ビジョン

 平成15年6月
 「中筋川流域の自然環境を最大限に活かし、かつ地域と協働で自然環境再生を目指します。」

 以下、水源地域ビジョンに基づきイベントの企画・運営しております。

   


4.イベント紹介  

(1)蛍湖まつり

 中筋川ダムでは、平成6年4月「地域に開かれたダム」の認定をうけ、平成7年11月に周辺市町村及び関係機関、学識経験者による「中筋川ダムの未来を考える会」を設立しました。同会では、中筋川ダムを地域の交流拠点として位置づけ、イベント開催の場、体験学習の場、様々な情報発信基地等として利用して地域活性化を図り、来訪者に対して森林やダム河川等の重要性をPRし、治水・利水事業に対する理解を深める為の活動を行っています。そうした中、「森と湖に親しむ旬間」中において、地域の交流・連帯及びダム事業への理解を深めることを目的として、平成8年より「蛍湖まつり」を実施しています。
    第16回(H23年度)より開催時期を夏季から秋季に変更し、継続。
    第22回(H29年度)は台風の影響により中止となりました。



   
≪第21回(H28年度)蛍湖まつりの様子≫
▲蛍湖まつりの模様 ▲イベントでの洗浄放水の模様 ▲ダム内部イルミネーション装飾 ▲ダム食堂


 

(2)洗浄放水とダム堤体ライトアップ

 地域に開かれたダムに指定されている「中筋川ダム」では毎月第4土曜日にダムの日を開催。迫力満点の洗浄放水や噴水の打ち上げを行います。又、夜にはダムのライトアップも行っています。

 ・洗浄放水は12時15分から12:25分の10分間。
 ・噴水は1時間毎に各時10分間(12時のみ12時、12時30分の2回)。
 ・ライトアップは4月~9月までが19:30~20:30、10月~3月までが18:30~19:30と点灯しています。

 ダムの役割や仕組み、魅力にふれる機会を増やし、より多くの人たちにダムへ来訪してもらいたくダムの日を設けています。



▲桜満開時、洗浄放水 ▲ダム堤体ライトアップ