ダム・水源地トピックス 今月の行事 水源地紹介 水源地域ビジョン活動 ワンポイント・ぜみなーる 編集局便り

ダム・水源地トピックス

◆第41回 水の日・水の週間

◆ダムマニア展&宮ヶ瀬ダム

◆小渋ダム土砂バイパストンネル〜 平成28年9月完成 試験運用開始 〜   



第41回 水の日・水の週間


水源地ネット編集局

1.水を考えるつどい

8月1日水の日は、昭和52年に閣議了解により設けられ、平成26年水循環基本法施行にともない法定化されました。国民に広く健全な水循環の重要性について理解と関心を深めるための事業を実施されていますが国の取り組みのメーン行事として「水を考えるつどい」が8月1日都内イイノホールで開かれました。 まず、石井国土交通大臣等の主催者挨拶に始まり、全日本中学生水の作文コンクールの表彰式がありました。



最優秀賞内閣総理大臣賞には、熊本信愛女学院中学校の岡部利穂さんが受賞し、受賞作「水への想いが変わった日」の朗読がありました。 岡部さんの作文は、一年前の熊本地震により、これまで当たり前に使っていた水が使えなくなった不自由さ、水を確保することの大変さを経験し、震災後は水の大切さ,水への想いが変わりましたというものでした。

最優秀賞の他、優秀賞として国土交通省等関係大臣賞5名、同じく水の週間実行委員会長賞・水資源機構理事長賞・全日本中学校長会会長賞が表彰されました。



基調講演は、「熊本から学んだこと 〜未来へつなぐ命(いのち)の地下水〜」と題して大西熊本市長からありました。水道水100%依存している事業主体として日本一の熊本市は、地下水の保全に力を注いでいること。熊本地震の経験から「明日は我が身、備蓄・節水」を強調されました。



パネルディスカッションは、「流域の水環境と地域づくりを考える」をテーマに、パネラーの黒川内閣官房水循環政策本部事務局長から流域マネジメント、水循環をとりまく課題、流域水循環計画づくり等について説明がありました。



パネラーからは、水循環と地域つくりについて大西熊本市長からくまもと地下水財団理事長として「熊本の地下水について」、冨永名古屋工業大学院教授からは「岡崎市の水供給の実態」、中村日本大学教授からは輝く猪苗代湖をつくる県民会議理事長として「水循環のふるさとつくり」などの紹介があった後 、水循環と地域づくりについて吉原東京財団研究員のコーディネーターのもと討論された。




2.こども霞が関見学デー


国土交通省において8月2日、3日に行われた「こども霞が関見学デー」のイベントでは、水の日関連行事として、「水の循環」「下水道」「ダムカード」などに関する展示がなされ、各担当官が説明されていました。
ダムコーナーでは、全国のダムカード604枚(7月末)が地方整備局管内別に掲示され、ダムカレーマップやダムに関する写真集などの出版物が展示されていました。
テーブルでは、漫画家でダム愛好家の井上よしひささんのダムの塗り絵に熱中しているこどもさんや、パネルと一緒に記念写真を撮っている親子がいらっしゃいました。


またその他、水の他に海や空の仕事、観光、庭園、地図などの多様な仕事が展示されていました。


※「こども霞が関見学デー」は、親子のふれあいを深め、子どもたちが夏休みに広く社会を知る体験活動の機会とするとともに、政府の施策に対する理解を深めてもらうことを目的に、文部科学省を中心に各府省庁などが参加して実施しています。(内閣府のホームページより)




3.水ワークショップ・展示会


水ワークショップ・展示会<水のハッピーデー〜水について学ぼう>が、水の週間中央行事として8月15日〜17日の3日間東京国際フォーラムが開催する丸の内キッズジャンボリーの中で開催されました。

「森林の働きとおいしい水」のスクール形式でスライドをみて学ぶ催しをはじめ、体験しながら学ぶワークショップが開催されていました。(「水道キャラバン2017 〜東京の水道を学ぼう〜」「下水道ってなんだろう? 〜みんないっしょにかんがえよう〜」「いのち育む農業用水」など)

また、「水の百科展」と題した展示では、水に関するさまざまなパネル展示や実験が出来るブースが小さく分かれて紹介されており関東地方整備局のダムの紹介、水資源機構のダムカードやダムカレーの紹介、ダム工学会・ダム工事総括管理技術者協会によるダムの作り方を学ぶというコ−ナ−がありました。どのブースも趣向を凝らして、ミニチュアのダム発電模型があって水を流すと発電体験ができるコーナーがあったり、塗り絵やクイズに参加して遊びながら学ぶことができるものなどがありました。子供たちも時には真剣に参加しているようでした。

夏休みも後半、宿題も兼ねてか?多くの親子で賑わっていました。

キッズジャンボリーの親子の賑わい
水の週間中央行事
ダムものしりはかせによる
ダムの作り方勉強中

»»アーチ?重力?・・・
 〈わかんなーい??〉
最近はやりの「ダムカード」に入る
パネル展示


ダムマニア展&宮ヶ瀬ダム

水源地ネット編集局


第4回ダムマニア展


神奈川県相模ダム建設70周年記念と合わせて、第4回「ダムマニア展」が相模ダム湖畔の神奈川県立相模湖交流センターで行われました。

平日7月28日(金)に取材したので見学客は少なめで、それでも平日100人程度は訪れるということです。



会場には、ダムマニアさんたちの手作りのブースが沢山並んでいました。 ダム管理関係者やダム愛好家は勿論のこと、ダムになじみの少ない一般の方にも、ダムに関する情報を写真や図表でわかりやすくパネル展示されていました。 ダムの役割、ダムの形式、ダムの大きさ、ダムの楽しく見るポイント、ダム放流の見方、ダム愛好家の撮影したダムの写真などパネルがひしめく。



ダムのつくり方をミニチュア重機など入れて現場を再現したり、ダムカレーのサンプルが展示されていました。


今年は、ドローンで撮影したダムの映像を流していました。 矢木沢ダムの放流などダムの真上から、長野県裾花ダムなどダム直下流やダム直上の迫力ある動画に引きつけられました。



今年は相模ダム完成70年にあたり、相模ダム70周年記念として相模ダムの建設当時の記録映画や写真が展示され、記念カードや記念グッツも販売していました。




宮ヶ瀬ダムの観光放流&利水補給


人気の高い、宮ヶ瀬ダム観光放流を取材しました。
宮ヶ瀬ダムの観光放流、平日ですが相変わらずの人気で、この日午前の部11時からの放流に約530人(管理事務所の話)がダム直下流の管理橋などから眺めていました。
観光放流は毎秒30mの水を6分間、2門の洪水吐きから放流され、ダム下流面に沿って約70m落下するところを楽しむ。放流された水は、直下の石小屋ダム湖に一時的にため込み、水道用水等として下流に放流していますので、無駄に放流しているのではないということです。


宮ヶ瀬ダムは、観光放流の他、冬季のイルミネーションやクリスマスツリーなど一年中多くの観光客が訪れ、年間約150万人にも達しています。

ダムの監査廊の階段には見学者用に車いす用の昇降設備も備えられていました。


右岸展示館では、宮ヶ瀬ダム放流カレーが大人気で、長蛇の列で入れませんでしたので、宮ヶ瀬地域周辺整備の一つ宮ヶ瀬湖畔の水の郷商店街のお店で、従来からある宮ヶ瀬ダムカレーを頂きました。



一方、平成13年に完成し15年目となる宮ヶ瀬ダムも、今年は過去最大の渇水となりました。見学当日7月28日の貯水率は、過去最低の57%になっており、この日のダム放流量は、約毎秒15.8m、ダムへの上流からの流入量は約毎秒2.8mでしたから、ダム貯水池からの 毎秒13mを新たに補給していることになります。 これは、一人1日400Lの水道水に換算すると、280万人分となり、神奈川県民水道水の約30%分に当たることになります。




小渋ダム土砂バイパストンネル

〜平成28年9月完成 試験運用開始〜

天竜川ダム統合管理事務所 管理課長 竹内寛幸


1.はじめに


 小渋ダムは、長野県と静岡県境の赤石岳を源流とする天竜川左支川小渋川に、洪水調節、農業用水供給、発電を目的として、昭和44年に完成した高さ105m、長さ293.3m、総貯水容量5,800万立方mのアーチ式コンクリートダムです。
 小渋ダムの流域は、中央構造線等の影響を受けた脆弱な地質と南アルプスの急峻な地形が相まって、土砂の流出が非常に多い地域です。


図-1 小渋ダム位置図 写真-1 小渋ダム全景


2.小渋ダムの堆砂対策


 小渋ダムでは全国に先駆けて、ダムの堆砂を抑制する対策として、昭和52年に貯水池上流端部でダムに流入する土砂を貯留して効率的に土砂排除を行うため、1基目の貯砂堰を、平成元年に2基目の貯砂堰を設置し、貯水池に貯まった土砂を掘削したり民間の砂利採取により、年平均約13万立方m、累計561万立方mの土砂を貯水池の外へ搬出してきました。
 しかし、ダム完成後32年経過した平成12年時点で計画で見込んだ堆砂容量に対して約70%(図-2)も貯まり、このままでは10数年後には計画で見込んだ堆砂容量に到達し、貯水機能に支障が生じる恐れがあることに加え、ダム下流の河川ではダム建設後、小砂利より細かな土砂が流れ出る一方上流からの供給がないことから、大きな石のみが目立つようになってしまいました(写真-2)。
 このことから、貯水池の土砂貯留を抑制し、ダム上下流の土砂移動の連続性の確保を目的として、洪水時にダム貯水池に流入する土砂をダム下流へバイパスする、土砂バイパス事業(堰堤改良事業)に平成12年度より着手し、平成28年秋に施設が完成しました。


図-2 小渋ダム堆砂状況図 写真-2 小渋ダム下流河床状況

3.土砂バイパス施設の概要


3.1 施設全体概要

 土砂バイパス施設(図-3)は、長さ約4km、幅及び高さ約8mの土砂バイパストンネル、呑口施設、吐口施設で構成され、バイパスする土砂は、洪水時に河床を転がるように流れる「掃流砂(主に砂利)」と、洪水時に水中に浮いているように流れる「浮遊砂(主に砂)」と、洪水時の泥水に溶けているような細かな粒子の「ウォッシュロード(主に土や粘土)」を対象としています。


  
図-3 土砂バイパス施設全体計画図

3.2 排砂計画

 小渋ダムバイパス施設完成後の土砂排除は、図-4に示すように流入土砂のうち粗い砂利のほとんどを分派堰上流の貯砂堰で補足し、民間砂利採取等により搬出します。
 上流貯砂堰を超えて流下した、細粒分(浮遊砂、ウォッシュロード)と粗い砂利(掃流砂)の一部を分派堰で土砂バイパストンネルへ分流して、ダム下流へ流すことにより、ダム貯水池に流れ込む土砂を少なくさせる計画です。


  
図-3 土砂バイパス施設全体計画図

3.3 土砂バイパストンネルの概要

 土砂バイパストンネルは、設計流量を毎秒370立方m、平面形を極力直線とし、上流部には管理用トンネルに接続させ、下流の吐口と2ヶ所からトンネル内へのアプローチが可能となるようにしました。
 トンネルの底(インバートといいます)のコンクリートは、掃流砂(砂利)が流れることにより摩耗することが懸念されることから通常のコンクリートよりも高強度のものを使用しています。


3.4 呑口施設の概要

 呑口施設は写真-3のとおり洪水を分派するためのトンネル入口の「呑口」、昭和52年に建設された既設貯砂堰を改良した「分派堰」、流木による呑口閉塞を防止するための「流木ハネ」、分派前に粗い砂利を捕捉するための「貯砂堰」で構成しています。
 呑口の躯体は、ゲート操作が単純となる自然調節とし、下段に穴を設けたようなオリフィス部と、上段のクレスト部を縦に配置してそれぞれ2門ずつの複雑な形状としています。また、摩耗対策のため、呑口上流の20m区間を鉄の強度とゴムの弾力性を備えたラバースチールで、その下流30m区間は鋼製で表面の保護を(図-5)施しています。


図-5 呑口躯体断面図 写真-3 呑口施設完成写真


3.5 吐口施設の概要

 吐口施設は、小渋ダム下流約300mに位置(写真-4)し、トンネル出口の「吐口」、吐口から小渋川にスムーズに流れ込むようにした「放水路」、流れ出てきた洪水はそのままの勢いでは小渋川下流などで各種施設が壊れたりする恐れがあるため、これを弱める「減勢工」で構成されています。



  
写真-4 吐口施設完成写真


4.試験運用期間中のモニタリング計画


4.1 モニタリングの目的と区分

 モニタリングの目的は、土砂バイパス施設の本格運用の方法(放流のタイミング・呑口部の管理河床高等)を決定するために、土砂バイパスを運用して、施設状況・環境変化等を確認するものです。
 モニタリング計画は、放流設備の確認という視点から「構造」、排砂をすることによる生物への影響評価という視点から「環境」、移動土砂量把握と効果量確認という視点から「土砂収支」の3つに区分しています。


 

4.2 モニタリング委員会

 モニタリング計画及び評価については、平成26年度より学識経験者で構成された委員会により実施しており、今後も助言をいただきながら検討していく予定です。


 

5.試験運用の実施


5.1 試験運用の概要

 平成28年度は、土砂バイパストンネル完成直後の9月20~21日の台風16号(写真-5及び6)及びその後の同月23日の前線降雨の洪水時にバイパス施設の試験運用を実施しました。それぞれの洪水のバイパス最大放流量は、毎秒80立方mと60立方mでした(図-6)。


 
写真-5 呑口の状況(9月21日9時30分) 写真-6 吐口の状況
(9月21日9時10分)
図-6 バイパス運用の状況


5.試験運用の実施


5.2 構造モニタリング

 試験運用時、ゲート閉鎖時には土砂・流木の噛みこみなどすることなく確実に閉鎖することができました。また、トンネル内の摩耗状況を把握するために設置したペンキ帯は、インバート部はすべて剥がれてしまいましたが、側壁部はほとんど残っており、トンネル内全区間にわたり、問題となる損傷も発生しませんでした(写真-7.8)。


 
主ゲート戸溝(損傷なし)
鋼製ライニング部(損傷なし)
写真-7 操作後のゲート付近の状況確認

写真-8 試験運用前後のペンキの状況

5.3 環境モニタリング

 試験運用後に実施したダム下流河川の現地調査では、砂以下の土砂が河床にパッチ状に堆積(写真-9)する箇所が確認されましたが、これによる生物環境(付着藻類・底生動物・魚類及び陸域植生)の調査結果では、有意な変化は確認できませんでした(図-7)


写真-9 試験運用後の
小渋ダム下流の河床状況
図-7 経年的な魚類調査結果


5.4 土砂収支モニタリング

 試験運用前後の測量・河床材料調査、試験運用中の採水調査に加え、河床変動解析により土砂バイパストンネルの排砂量を算出した結果(図-8)、2回の運用で約10,000立方m(推定値)の土砂をダム下流にバイパスすることができたものと推定されます。


  
図-8 試験運用による土砂収支の試算


6.まとめ


 小渋ダム土砂バイパスは、大きな問題もなく、運用を開始することができました。
 平成28年度の試験運用では、流量規模が小さかったものの、土砂収支や環境モニタリング調査の貴重な成果を得ることができました。 しかし、土砂バイパスの効果については不十分な点が多く、今年度もすでに1回の試験運用を行っていますが、今後も長期にわたる継続的なモニタリングが必要になります。




一般財団法人 水源地環境センター 水源地広報センター

〒102-0083

東京都千代田区麹町2-14-2 麹町NKビル

TEL:03-3263-9051 FAX:03-3263-9922

Copyright 2008 Water Resources Environment Technology Center, Japan. All rights reserved.