2018.05掲載
独立行政法人 水資源機構
大山ダム管理室


大山ダム ~日田ひた市~

1.筑後川流域の紹介

 筑後川は、熊本、大分、福岡、佐賀の4県にまたがる九州第一の河川であり、古くから、かんがい、舟運、発電などに利用されてきました。一度豪雨に見舞われると川は様相を一変して暴れ狂い、数々の水害をもたらして来ました。この川が暴れ川であることから筑紫次郎と呼ばれることもあります。
筑後川は、流域面積2,860㎢、流路延長143kmの一級河川です。熊本県阿蘇郡南小国町を源として日田市において 玖珠 くす 川と合流し、その後も多くの支川を集めながら筑後平野及び佐賀平野を貫流して有明海に注いでいます。

2.大山ダムの紹介

 大山ダムは、筑後川の支川である赤石川に建設されたダムで平成25年4月から管理を開始しています。

【ダム諸元】
  形式:重力式コンクリートダム
  堤高 :94m
  堤頂長 :370m
  総貯水量 :19,600(千㎥)
  有効貯水容量:18,000(千㎥)
  内訳 洪水調節容量 :7,000(千㎥)
     利水容量   :11,000(千㎥)
  流域面積 :33.6㎢
  湛水面積 :0.6㎢

【目的】
●洪水調節
 ダム地点における計画高水流量690㎥/sのうち570㎥/sの洪水調節を行ない、ダム下流の赤石川流域及び筑後川水系の他のダム群と連携して筑後川本川沿岸の洪水被害の軽減を図ります。
(大山ダムの近隣に国土交通省が管理する松原ダムと下筌(しもうけ)ダムがあり、共に筑後川本川の洪水被害軽減を図るための重要なダムです。)
●既得取水の安定化・河川環境の保全(不特定用水)
 下流河川の良好な環境を維持し取水を安定させるため必要に応じて不特定用水を補給します。
●新規利水
 福岡都市圏及び福岡県南地域の水道用水として新たに1.31㎥/sを取水することを可能とします。

【大山ダムの特徴】
●ゲートレスダム
 大山ダムは、ゲートレスダムの自然調節方式のダムです。通常の洪水は、常用洪水吐きで行ない、計画以上の洪水時は、非常用洪水吐きから放流を行います。
常用洪水吐 幅3.7m×高4.7m 最大放流量 210㎥/s
非常用洪水吐 越流幅13m 4門 最大放流量 860㎥/s

▲常用洪水吐からの放流 ▲非常用洪水吐からの放流(試験湛水時)

●水質保全対策
 大山ダムでは、ダム流入水と放流水の温度差をなくす目的でダム上流端に取水堰を設け管路で貯水池を介さずに下流へ放流することができる流入水バイパスを設けています。
 また曝気ばっき循環設備、選択取水設備も設置しています。

●管理用水力発電
  大山ダムは、0.8㎥/sの維持流量を流しており、この放流水を利用して水力発電を行っています。発電した電力は、管理所の電気に使用し余った電力は、売電してその収益をダム維持管理費にあてています。
  水車形式: 単輪単流横軸フランシス水車
  発電出力: 最大520kW
  最大使用水量 :1.2㎥/s

▲曝気循環設備 ▲流入水バイパス取水堰
 
▲水力発電設備  

【大山ダムのパワースポット?】
大山ダムには、パワースポットがあります。
毎年、冬至の頃、時間帯は午後2時半から午後3時過ぎの頃、大山ダムの下流に立ち寄るとまるで自分にスポットライトが当てられたようになり、パワーを貰った気分になれることがあります。これは太陽が傾き始めた時間帯に太陽光がダムの常用洪水吐の空間を通りぬけて降り注ぎ、周辺はダムの大きな陰に囲まれていても、その一部だけに光が当たることから、スポットライトの様に見える現象です。
当然、晴れた日以外は無理です。雨の日に民放さんが取材に来たこともありますが、そこはプロですから他のナレーション等で放送されました。
是非、体験しに来てください。

【大山ダムライトアップ】
大山ダムは、照明設備の点検を兼ねて地域の祭り等に併せダムライトアップを行うことがあります。
いろんな色彩で演出しますので是非、ご覧ください。ただ通年では行っておりませんので大山ダムホームページでご確認してからお越し下さい。

▲大山ダムパワースポット ▲大山ダムライトアップ

【大山ダム上下流交流】
田来原たらいばる美しい森づくり公園(元は、大山ダム建設発生土受入れ地)において水源地域の方々と水を利用する側の方々が集まり上下流交流会が行われています。 育林活動を行い水源のかん養を図り、更に水源地域の重要性を再認識してもらうことが目的で行われます。内容は、美しい森を作るために春先に植樹を行い、夏が過ぎた頃、樹木の下草刈りを行っています。毎回、作業が終わると地元の婦人会等の皆さんが作ってくださったキノコ汁等とおにぎり、そして大きな焼き鳥を食べて会は終了します。

▲作業風景とお楽しみの食事風景

3.大山ダム周辺の紹介

●大山ダムがある日田市を紹介します。
 日田市は、江戸幕府の直轄地・天領として九州での政治、経済、文化の中心として栄え、日田独自の町人文化も栄えたところであり、現在も歴史的な町並みや文化が受け継がれています。この地は「水郷日田(すいきょうひた)」とも呼ばれるほど清らかな水が豊富なところであり古くから酒、醤油などの生産も盛んに行われてきたところです。
また日田祇園曳山は、約300年の歴史を持ちユネスコ無形文化遺産に登録されています。
平成17年に日田市と合併した旧大山町は、周辺を含め昔から林業の町であり特に日田杉など有名な地域でもあります。
大山町は、村おこしの「一村一品運動」の元祖的な地域であり昭和36年から「梅、栗植えてハワイへ行こう」を合い言葉に耕地農業から果樹農業へと転換を図り今では梅、栗、椎茸、えのき茸、ハーブ等の生産も多く、とても美味しいものを食べることができます。

●日田市周辺での魚釣り
 日田市周辺は、鮎がたくさん泳いでいる河川が多く中には、尺を越える大きな鮎(尺鮎)もおりシーズンになると沢山の鮎師が訪れてきます。 
渓流の方に出向くと「えのは(やまめ)」も沢山いますので釣って嬉しく、景色を見て感動し、食べて美味しくを楽しめます。
大山ダム湖(烏宿湖・うしゅくこ)においては、10月から3月までの間、ワカサギ釣りが盛んに行なわれます。遊漁券さえ買えば、難しい釣りではないので誰でも釣ることができ調子が良ければ、一人で3束、4束(束=100匹)も釣ることもできます。
遊漁券 鮎釣り      年券  10,000円 日釣り券3,000円
    エノハ      年券  3,500円 日釣り券1,000円
    ワカサギ     年券  3,500円 日釣り券 500円
(詳細は、日田漁業協同組合又は地元の釣具店に確認してください)

【大山ダム周辺観光案内】

豆田まめだのまち 日田市方面に来たら豆田のまち中を歩いてみてはいかがでしょう。江戸時代に建造された建物、昭和初期の建物などが建ちならんでおり、趣のある町並みを見学することができます。まち中で日田焼きそばも食べることができます。
温 泉 大山ダム周辺には、多くの温泉郷があります。日田温泉、天ケ瀬温泉、杖立つえたて温泉、黒川温泉、ちょいと足を伸せば別府温泉と数え切れない程の温泉があります。
梅の花見 毎年、2月の中旬から3月まで「日田おおやま梅まつり」が行なわれるほど梅の花が綺麗に咲きます。
お土産 日田市にはいろんなお土産がありますが、道の駅「水辺の郷おおやま」の産直マーケットあるいは、「木の花ガルデン」農産物館には、産地で取れた野菜、梅干しなどを始め、鮎の姿煮など沢山、美味しいものが並んでます

大山ダム周辺には、この他にも沢山の観光地もあり、例えば「鯛生金山」たいおきんざんでは、砂金の採掘体験も可能です。これらの観光地を楽しみながら是非、大山ダムの見学にお越し下さい。

▲大山の梅干し ▲日田鮎の姿煮
 
▲大山の梅まつり  

大山ダムに関する情報は、大山ダムホームページ
https://www.water.go.jp/chikugo/oyama/)からどうぞ。
周辺の観光案内は、日田市ホームページ(http://www.city.hita.oita.jp/teiju/index.html)から確認できます。