2018.09掲載
国土交通省 東北地方整備局
最上川ダム統合管理事務所
白川ダムは、山形県の母なる川最上川の左支川 置賜白川 に、置賜白川と最上川の洪水氾濫被害の軽減を図るほか、置賜地区の農業用水の供給や発電などを行うなどの役割を果たしています。昭和41年4月に白川ダム調査出張所が開設されて以降、昭和42年8月に発生した 羽越 豪雨の被害を計画に取り入れ、約15年の歳月を費やし昭和56年9月に完成した、堤高66.0m、堤頂長348.2m、総貯水容量5,000万m3の、直轄施工第1号の中央コア型ロックフィルダムです。
▲白川ダム全景 | ▲白川ダム流域図 |
【白川ダムの6つの役割】
洪水調節
ダム地点の計画高水流量1,400m3/sのうち1,100m3/sを貯留し、下流地域の洪水被害を軽減します。
河川環境の保全
河川環境の保全に必要な水量を確保します。
農業用水
置賜地方の約3,800haの水田に対して農業用水を供給します。
工業用水
飯豊町内の工場に対して1日約8,300m3の工業用水が使えるように供給します。
水道用水
飯豊町の生活に必要な1日約1,700m3の水道用水が使えるように供給します。
水力発電
山形県企業局の白川発電所で最大出力8,900kwの発電を行います。
ダム湖に整備された湖岸公園周辺は、温泉宿泊施設、グランドゴルフ場、オートキャンプ場などが整備され、親水空間や様々なイベント会場として多くの人に利用されています。
ここでは、湖岸公園をスタート・ゴールとして、毎年5月上旬に開催される「全国白川ダム湖畔マラソン大会」や、毎年7月下旬の「森と湖に親しむ旬間」の行事として、冬の時期に雪室で保存している雪を活用して行われる真夏の雪祭り「SNOWえっぐフェスティバル」が開催され、多くの来場者で賑わいます。
▲グランドゴルフ場 | ▲オートキャンプ場 |
▲全国白川ダム湖畔マラソン大会 | ▲SNOWえっぐフェスティバル |
飯豊山系からの雪融け水で満々と水を湛える春の白川湖では、若葉が萌え始めた群生するヤナギの木が、まるで湖面から顔を出しているように見える「水没林」を楽しむことができます。
この景色は、若葉が出始める4月中旬から、洪水期に向けて水位を低下させ始める5月中旬までの1ヶ月限定の珍しい景色として、各種メディアに取り上げられるようになり、全国から多くの人が訪れるようになりました。
白川湖周辺では、飯豊山系の残雪の白、白川湖の 浅葱 色、公園の桜の濃いピンク色とともに、この「水没林」のヤナギの若葉の萌木色など、色鮮やかな景色が楽しめます。
▲鮮やかなコントラストと神秘の景観が魅力の「白川湖の水没林」 |
県内外からたくさんの人が訪れ、森林を対象とした健康増進や自然学習、レクリエーションを通じて、都市と山村との交流が行われています。
▲源流の森で実施される森林(もり)の感謝祭 |
白川ダムでは、ダム完成直後から、水源地である飯豊町やダム管理所において、ダムを活用した地域づくりの活動を積極的に行っています。
また、平成17年3月に策定された「白川ダム水源地域ビジョン」において、周辺で活動している各種団体が連携し、様々な活動を実施しています。
毎年2月に開催される、白川ダム上流部に位置する中津川地区住民による雪まつりです。昼は雪像展示や雪のすべり台、夜は小正月の行事や花火打ち上げなどが行われます。
▲中津川雪まつりの様子 |
水源地域ビジョン活動
・春の水没林の時期に実施される「白川湖体験巡視」
・地元の小学生を対象に実施される「河川の水質調査」
白川ダム独自の活動
・「森と湖に親しむ旬間」行事として実施する「ダムとのふれあいの日」
・地元の小学生に管理所長の仕事を体験してもらう「白川ダム一日管理所長」
▲白川湖体験巡視で水没林の中を進む巡視船 |
▲体験巡視の船上から水没林を観察 | ▲小学生が水生生物による水質調査を実施 |
▲「ダムとのふれあいの日」で監査廊を探検 | ▲一日管理所長の小学生がゲートを点検 |
白川ダム周辺における、水源地域での地域づくり活動や、環境活動の実践が様々な機関から評価されていますので、その一部を紹介します。
・平成11年度 雪対策功労賞(SNOWえっぐフェスティバル実行委員会)
・平成15年度 雪対策功労賞(中津川雪まつり実行委員会)
・平成20年度 花・人・みどりの水源地活性化大賞最優秀賞(白川ダムビジョン推進会議)
・平成25年度 美の里づくりコンクール農林水産大臣賞(中津川むらづくり協議会)
・平成27年度 地産地消優良活動表彰農林水産大臣賞(なかつがわ農家民宿組合)
・平成29年度 水・土壌環境保全活動功労者表彰(飯豊町立手ノ子小学校)
山形県の南西部に位置する飯豊町は、県内でも有数の豪雪地域で、田園散居集落に代表される平坦な水田地域と中山間地の山里地域、置賜白川源流地域の山間地に大別することができます。
それぞれの地域で特徴ある風景や施設が存在しており、「日本で最も美しい村」連合に加盟しています。
①どんでん平ゆり園 東日本最大級・約7haの園内には、多品種50万本もの色鮮やかなユリが咲き誇ります。 |
②田園散居集落の風景 約1,200haもの広大な面積に広がる田園散居集落の風景は、日本の原風景そのものです。 |
③道の駅いいで めざみの里 飯豊町の観光と物産の拠点です。「めざみ」とはフランス語で「親しい友達」という意味です。 |
④「次代につなぐやまがた景観賞県知事賞」を受賞した「いいで中津川白川湖周辺」の風景 第1回の県知事賞を受賞した、残雪の飯豊山系と満々と水を湛える白川湖周辺の風景です。 |
⑤朝霧に煙る白川湖と水没林 美しいショットをねらって、朝早くから多くのカメラマンが訪れます。 |
⑥世界から訪れる中津川農家民宿 豊富な体験メニューと素朴なもてなしに海外からのお客さんも増加中。 |
⑦白川ダムカレー ダム湖畔の白川荘において、平成28年12月から提供されています。季節によりちょっとずつ変化があるようです。 |
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【参考】
最上川ダム統合管理事務所ホームページ http://www.thr.mlit.go.jp/mogami/
飯豊町ホームページ http://www.town.iide.yamagata.jp/