「地域に開かれたダム」全国連絡協議会現地交流会、熊本県菊池市(竜門ダム)で開催される

一般財団法人 水源地環境センター
企画部長 井山 聡

 2019年10月24日~25日に熊本県菊池市において、「地域に開かれたダム」全国連絡協議会現地交流会が開かれました。

 「地域に開かれたダム」は、ダム湖の利活用をさらに推進し、地域の活性化を図るため地域の創意工夫を生かすとともに、ダムを地域に一層開放することを目的として、ダム所在市町村の申請に応じて国土交通省が指定したダムで、全国に46のダムがあります。同協議会は「地域に開かれたダム」の円滑な取り組みの推進を目的としており、この趣旨に賛同した指定ダム所在市町村長で構成されています(現在28市町村)。1994年の設立以来ほぼ毎年協議会会長の市町村に所在するダムにおいて、現地交流会を開催してきました。

 今回は、同協議会加入市町村からの8市町村に加え、「地域に開かれたダム」に指定されている菊池川水系竜門ダムの関係県市町村や利水関係者、水源地域関係者等、それに国土交通本省と九州地方整備局、水資源機構の関係者ら約70名が参加しました。

 冒頭、今年度の同協議会会長である開催地菊池市の江頭市長より、同市の紹介を交えた挨拶の後、来賓を代表して国土交通省水管理・国土保全局水資源部水資源政策課の落合水資源地域対策企画官より挨拶がありました。

 情報交換会では、最初に国土交通省九州地方整備局菊池川河川事務所の杉町所長より、「ダムの役割~竜門ダム~」と題して竜門ダムの概要とダムや周辺施設の利活用について紹介があった後、水源地域を代表して水源地域ビジョン推進実行委員で竜門倶楽部の村上座長より「竜門倶楽部の歩みと夢」と題してその活動状況や地域とダムが共存するための夢について発表がありました。また、九州電力(株)熊本支社企画・総務部地域振興グループの江口副長より、菊池川水系のダム・発電所と紅葉の菊池渓谷を巡るツアーなど、官民連携によるインフラツアーの開発について紹介がありました。これらの発表によると、竜門ダムと貯水池周辺では、直線状の貯水池を活かしたボートコースやいくつかの広場が整備されているとともに、ダムの恵みに感謝する上下流交流などのイベントが開催されているほか、インフラツーリズムの一環として見学ツアーの対象にもなってきています。

 続いて講演では、当「水源地ネット」に連載中の「水源地を旅する」を寄稿していただいている、ダムライターの猪野光太郎さんに、「令和のダムを旅する~ダム×○○で創る未来~」と題して、自らの活動やダムと地域固有のおもしろいものを組み合わせることによる地域活性化のアイデアなどについて、フレッシュな感覚で所見を披露していただきました。当交流会参加者に対しては、新たな取り組みに向けた示唆を与えるユニークな提案であったと思います。

 その後、参加者は竜門ダムへ向かい、エントランス広場やボートエリアを視察し、様々な利活用の取り組みについて説明を受けました。

 夕刻には交流懇談会を通じて全国からの参加者は意見交換を行うとともに、翌日は菊池川上流の菊池渓谷を視察し現地交流会を予定どおり終えました。

 この現地交流会を出発点として、全国のダム水源地域における地域活性化に向けた取り組みが一層進展することを期待しています。