川治ダム資料館が7月11日にリニューアルオープンしました

水源地環境センター
研究第一部 三戸 孝延

図1 川治ダム資料館リニューアルオープン

川治ダム資料館のダム展示スペースは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため臨時休業しておりましたが、令和2年7月11日にリニューアルオープンしました。

新しくなった川治ダム概要について紹介します。

川治ダムの概要

川治ダムは、栃木県日光市に位置しており、鬼怒川上流ダム群の1つで洪水調節と都市用水・農業用水の補給を目的とした堤高140mのアーチ式ダムです。

記憶に新しい令和元年東日本台風や平成27年関東・東北豪雨の際には、洪水調節を実施して、下流の河川水位の低減、氾濫被害の軽減に効果を発揮しました。

また、川治ダム周辺には、川治温泉、湯西川温泉、鬼怒川温泉といった温泉街があり、鬼怒川上流ダム群と連携した観光資源としてインフラツーリズムが推進されています。

川治ダム資料館は、ダム巡りルートの拠点の1つとしてダムに関する学習の場、ドライブ、ツーリングなどの休憩箇所として活用されています。


写真1 川治ダム

図2 川治ダム資料館の位置図
(国土地理院[空中写真]に加筆)

川治ダム資料館

川治ダム左岸側には川治ダムの管理やダム操作を行っている川治ダム管理支所があり、対岸の川治ダム右岸にある斜めの屋根の白い建物が川治ダム資料館です。2階、3階が展示スペースになっており、1階はダムカレーもメニューにある食堂・喫茶となっています。

令和2年7月豪雨では、九州の球磨川、筑後川で河川の氾濫が発生し、大きな被害が発生しており、関東地方でも梅雨前線の停滞により雨の日が1週間以上続いていましたが、見学した当日は梅雨の中休みの晴れた日曜日ということもあり、ドライブの家族連れ、ツーリングのライダーなど多くの方々がダムや資料館の見学、休憩などで立ち寄られていました。

写真2 川治ダム資料館および周辺の様子

資料館での展示内容

①トリックアート
写真3に示しますように壁面と床面にプリントされた写真の上に立ち、定められた角度から撮影することにより、普段は行くことができないキャットウォークを歩いているかのような写真を撮ることができます。

写真3 トリックアート

②VR映像体験
ドローンで撮影した360°映像をVR(仮想現実)で体験できます。ダムの様子や、仮に河川氾濫が発生した場合の状況を、鳥になって空を飛んでいる視点から体感することが出来ます。写真4(右)は上空からダムが放流しているところを見下ろしている様子です。

写真4 VR映像体験

③雨量計の仕組み

雨量計の仕組みについて展示されています。雨量計は雨を円筒形の筒で受け止めて、転倒ますに一定量の雨が貯まると、貯まった雨の重さでますが転倒します。この回数をカウントすることにより雨量を計測する仕組みになっています。展示では、シャワーの水によって転倒ますに水が貯まり、転倒回数がカウントされる過程がわかるようになっています。

また車で5分ほどの距離のところにある五十里ダムの駐車場(写真5右)では、実際に雨量計が設置されている様子を見ることが出来ます。

写真5 雨量計の仕組み

④ダム管理用制御処理設備

ダム管理用制御処理設備(ダムコン)が展示されています。放流スイッチを押すとモニターに映し出されたゲートから放流がはじまり放流操作を体験することができます。

写真6 ダム管理用制御処理設備(ダムコン)

⑦資料館のその他展示

 川治ダム資料館では、その他以下に示す展示が行われています。

残念ながらダムカードの配布はまだ再開されていません。

鬼怒川上流ダム群と電力ダムのダム巡りのルートが紹介されています。

ダムマンガを利用して、分かりやすくダムについて解説されています。

インバウンドへの取り組みとして、日本語の他、英語、中国語(簡体字と繁体字)、韓国語のパンフレットが配布されています。

写真7 資料館内のその他の展示

川治ダムカレー

資料館1階では、川治ダムカレーを食べることが出来ます。アーチ式の堤体の形に盛り付けられたライスの上流側貯水池はスパイシーなグリーンカレー、下流側はトロトロになるまで煮込まれた豚の角煮の入った少し甘めのポークカレーとなっています。2種類の本格的なカレーを味わうことができます。

写真8 川治ダムカレー

おわりに

新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、長距離の移動を伴う旅行や3密の観光地に旅行者の方々は不安を感じられることもあります。このような状況とアフターコロナを見越して、近場の魅力を再発見する「マイクロツーリズム」という考え方が提唱されています。

週末に、ふらっとダム巡りと温泉に出かけて、リフレッシュされてはいかがでしょうか。

【川治ダム資料館】
場所  :栃木県日光市川治温泉川治293-3
アクセス:日光宇都宮道路今市ICより25㎞、車で45分
Twitter :@mlit_kawaji_D